ヘルスケア

飲みすぎてしまった翌日のつらい二日酔いの対処法 ウコンは本当に効くの??

飲み会でついつい飲みすぎてしまった次の日の朝、「つらい・・・体がだるい・・・」といった経験を皆さんも一度はしたことがあるのではないでしょうか。

会社の忘年会や、友達との飲み会、デートの際に、ついついお酒を飲みすぎてしまって、翌日、二日酔いになってしまったという経験は誰にでもあるかと思います。

なんとかして二日酔いを軽くしたい!と思っても、ネット上では様々な情報が飛び交い、誇大広告や、科学的根拠のないもの情報も混ざっています。

そこで今回はお酒・二日酔いについて正しい知識をお伝えすると共に、二日酔い防止効果があるとされているウコンの実際の効果についても迫ってみたいと思います。

そもそも二日酔いとは

二日酔いというのは、大量のアルコールを飲んだ後に発生する不快な身体的および精神的症状のことを指します。

二日酔いの症状として以下のような症状が挙げられます。

・疲労・衰弱・のどの渇き

・頭痛・筋肉痛

・吐き気・嘔吐・胃痛

・睡眠と生活リズム REM睡眠の減少・浅い眠り

・めまい・光と音に敏感になる

・認知機能 注意力と集中力の低下

・うつ・不安・イライラ

・交感神経活動亢進 振戦(ふるえ)

・発汗・脈拍の上昇・収縮期血圧の上昇

これらの症状とその強度は個人差が大きく、また個人でもその時々で異なります。

二日酔いの原理は?アルコールはどうやって代謝されるの?

お酒はどのように代謝されるのでしょうか?お酒の主成分であるエタノールは、デヒドロゲナーゼ(脱水素酵素)、CYP2E1、胃酸、の三種類の経路で代謝されます。これらの化学反応についてチョット詳しく説明します。

デヒドロゲナーゼ(脱水素酵素)による代謝

まず、エタノールは、主に肝臓に存在するアルコールデヒドロゲナーゼ (ADH) という酵素によってアセトアルデヒに酸化されます。

次に、アセトアルデヒドは、アルデヒドデヒドロゲナーゼ (ALDH) によって酢酸に酸化されます。この反応も肝臓で起こります。

そして、2段階の酸化を経て生成した酢酸の多くは、肝臓を離れ末梢組織に循環し、アセチルCoAという物質に活性化されます。アセチルCoAとは炭水化物、タンパク質、脂質の主要な栄養素から生成される代謝産物であり、アセチルCoAは体のエネルギー状態や栄養・ホルモン状態に応じて、二酸化炭素や脂肪酸、ケトン体、コレステロールなどに変わっていきます。

CYP2E1による代謝

チトクロムP450(CYP)は肝臓に多く存在する酵素で、その中のCYP2E1が、以下のような化学反応式に基づいてエタノールを酸化します。

NADPH + H + + CH3CH2OH + O2→NADP + + CH3CHO + 2H2O

低アルコール濃度では、CYP2E1は肝臓の総アルコール酸化能の約10%を占めます。エタノール濃度が高くなるとCYP2E1がさらに誘導されてCYP2E1の関連性が増加します。

胃で起こる代謝

口から摂取されたアルコールの一部は、血液の循環に入らず、σADHという酵素によって胃で酸化されます。

とはいえ、胃と比較して肝臓のアルコール代謝酵素のレベルが高いことを考えると、肝臓がアルコール代謝に大きな役割を果たしていると言われています(*1)。

不快症状の原因物質アセトアルデヒド

エタノールの酸化によって生成されるアセトアルデヒドですが、通常は先ほど述べた反応によって、酢酸に速やかに酸化されるため、全身に循環する量は非常に少ないです。

ですが、アルコール中毒者では、アルコールの酸化が進み、アセトアルデヒドの酸化が低下することでアセトアルデヒドの循環レベルが上昇することが明らかになっています。

そしてアセトアルデヒドは反応性化合物であり、タンパク質と反応しさまざまな不快症状引き起こします。

ヒトの臨床試験では、アセトアルデヒドが上部消化管や肝臓がんのリスクファクターであることを示唆する論文が多数あり、被験者の多くがアセトアルデヒド曝露後に不快な症状が現れたという報告もあります。(*2)

しかし、二日酔いの症状はアセトアルデヒドだけが原因で起こるわけではありません。アセトアルデヒド以外にも、先ほどのエタノール代謝で使われる補酵素NADHとNADの比が変わることで体内の酸塩基平衡が乱れたり、細胞内のミトコンドリアが損傷したりと、身体内では様々な異常事態が生じます。

さらにアルコール自体に刺激性があり、濃度が高いと、表層びらん、出血、胃平滑筋の麻痺を引き起こす可能性があります。このように、さまざまな要因が絡み合って、身体の状態異常が不快症状として現れるのです。

二日酔いの対処法の大原則は水分補給!

それでは、お酒を飲みすぎてしまった時に不快な症状を和らげて、二日酔いを防止する対処法について、紹介していきます。

アルコールの利尿作用は長年、認識されており、アルコールはバソプレシンという抗利尿ホルモンの分泌の阻害することによって利尿作用を示します。そしてその作用は消費されたアルコールの量に比例します(*3,*4,*5)。

アルコールにより、脱水状態になると、体に不要となった物質を尿として排泄する力も弱まるため、二日酔いを引き起こす原因物質の排泄も遅延します。

そのため、水分を補給を通じて、排泄能を保つ事が、二日酔いを早く治すうえでとても重要なことなのです。実際に、急性アルコール中毒の応急処置もまずは、生理食塩水の静脈注射が行われます。

二日酔いにウコンは効くの?

二日酔い防止を謳うウコンの栄養ドリンクやサプリメントなどを最近よく見けますが、実際にこれらは二日酔いに効果があるのでしょうか。ウコンは通常の食生活ではカレー粉などから少量摂取されます。ウコンにもさまざまな種類があり、一般的にカレー粉やスパイスに入っている成分はアキウコンと呼ばれるものです。ちなみに、他にもハルウコンやムラサキウコンなどがありますが成分や学名などが異なり全く別の物質です。

アキウコン由来のクルクミンには、胆汁分泌作用、利尿作用があると報告されており。ウコン含有の栄養ドリンクやサプリメントでは、ウコンエキスやクルクミンが二日酔い防止効果があると謳われる事が多いようです。

しかし、ヒトにアキウコン熱抽出物およびクルクミンを投与したところ、肝機能を評価する肝機能マーカーに影響しなかったという報告もあり、その評価は定まっていないです。

皆さんの中には、ウコン含有の栄養ドリンクやサプリメントを飲んで、二日酔いが改善したという経験を持つ人もいるかもしれません。ですが、多くの栄養ドリンクやサプリメントにはウコンの成分のほかに、ビタミン類がたっぷりと含まれているので、ウコンが直接、二日酔いを改善したとは言えないわけです。

さらに、健康なヒトにウコンのサプリメントを2.8g/日投与しクロスオーバー試験を実施したところ、ウコン摂取は尿中のシュウ酸塩濃度が大幅に増加したという報告があり、これは尿路結石のリスクが高まる可能性を示唆しています。

一般的にサプリメントや健康食品などは、食品よりも高濃度の成分が含有しており、その分副作用の危険性も高まるため、ウコン含有の商品は注意して使った方が良さそうです(*6,*7)。

二日酔いを防止するための、その他のテクニック

さまざまな物質の身体への影響は一般的に血中濃度で判断されます。そのため、血中アルコール濃度を減らすことで二日酔いを和らげることが出来ます水分補給を大原則として、その他のテクニックについても紹介しますので参考にしてみてください。

食べ物と一緒に摂取する

アルコールというのは濃度勾配に沿って吸収されるため、アルコールの濃度が高いほど吸収は早まります。食べ物と一緒に摂取することで濃度は低くなり、胃から腸への排出も遅らせることが出来るため、結果的にアルコールの吸収を緩やかにすることが出来ます。

お酒の種類はあまり関係ない

一般的に同じ用量のアルコールの吸収率にはほとんど差がなく、血中のエタノール濃度はアルコール飲料の種類によって大きく影響はされません。ビールだから大丈夫!という風にお酒の種類を過信して飲みすぎるのはやめた方がいいでしょう。

果物、野菜を摂る

果物、野菜およびハーブなどの天然物は、アルコール分解酵素の活性を高め、アルコールの二日酔いの症状を緩和することが報告されています。具体的には、トマト・なし・柿などが挙げられます。さらに、フルーツジュースでもアルコール代謝酵素が活性化することで、二日酔いの症状を緩和したという報告もあります(*8.*9,*10)。

亜鉛・ニコチン酸を多く含む食事を摂る

食事から亜鉛を摂取した際の二日酔いの重症度が優位に低かったという報告があります。

この2つの成分はアルコールの代謝に重要な役割を果たすことが知られています。亜鉛が豊富な食物の例は、肉、貝類(例えば、カキ)、およびレンズ豆や豆などのマメ科植物です。

ニコチン酸が豊富な食品の例には、肉、魚、鶏肉、アボカド、ピーナッツ、全粒穀物、キノコなどの高レベルのナイアシンまたはトリプトファンを含むものが含まれます(*11)。

野菜・果物・亜鉛・ニコチン酸についてですが、これもサプリメントや健康食品で補おうとすると、副作用のリスクが高まるため、注意して用いる必要がありますし、食材にはまだまだ未知のいい成分がたくさんあると言われているので、それらをまとめて摂るためにも食材を選ぶことをお勧めします。

睡眠をよくとる

オランダの大学で睡眠時間と二日酔いの関係について研究がなされ、睡眠が二日酔いの緩和にプラスの影響があることを明らかにしました。二日酔いと睡眠時間の関係についての研究では睡眠時間が5時間未満の群は二日酔いの症状が優位に悪化していました。逆に睡眠時間が7時間以上の群では二日酔いの症状が著しく低下しました。

やはり睡眠によって休息をとることは、身体の異常事態を元に戻すのに役立つそうですね(*12)。

まとめ

今回はアルコールの代謝、二日酔いの対策についてご紹介してきました。二日酔いとは身体全体及び精神にさまざまな異常事態が起きている状態のことです。二日酔いを和らげるための対症療法として水分補給・食事・睡眠といった当たり前の内容がやはり効果的であると言えます。

体に余計なものを摂取したり、過剰に摂りすぎたりすると、体にさらなる負担をかけていることになります。

二日酔いの原理を理解して、自分の体調を上手に管理できれば、楽しい飲み会がもっと増えるかも知れません。とはいえ、アルコールは人体にとっては、異物である事に変わりはないのでくれぐれも飲みすぎないように、気を付けてくださいっ。

参考文献

*1) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23101976

*2) https://www.env.go.jp/info/iken/h180711a/a-3.pdf

*3)https://dm5migu4zj3pb.cloudfront.net/manuscripts/103000/103092/JCI55103092.pdf

*4)https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1113/jphysiol.1942.sp003973

*5)https://www.physiology.org/doi/full/10.1152/jappl.1997.83.4.1152?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org&rfr_dat=cr_pub%3Dpubmed

*6)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18469248?dopt=Abstract

*7)https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail544.html

*8)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23587660

*9)https://www.scirp.org/journal/paperinformation.aspx?paperid=45556

*10)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5894779/

*11)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6780234/

*12)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28721110

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レナ
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seemyライターのレナです。都内の薬学部に通う傍ら、健康系のコンテンツを正しく、分かりやすく伝えるため、執筆活動に励んでいます。