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ロボットと共存する未来はこんなにも楽しい!令和時代で活躍する子供たちを育てる、とあるベンチャー企業の挑戦

「人口知能の発展で2045年以降は、人間の脳では予測不可能な未来が到来する。」

                        レイ・カーツワイル

2020年から全国の小学校でプログラミング教育が始まりますが、「どのような授業が展開されていくのか」、「どのようにして教育が変わっていくのか」といった事に関心がある方も多いのではないでしょうか。

一方で、 文部科学省は、2025年には日本の仕事の49%がAIやロボットに代替されるとの予測をしており(第9回デルファイ調査報告書)、プログラミング教育を必修化したとしても「時代が変化したら通用しなくなるのではないか?」、「人口知能の急速な進化が、人間の職業を奪うのではないか?」と不安を感じる人も多いかも知れません。

これからの時代で、子供たちがポテンシャルを最大限に発揮して、これからのAIの時代を生きるための教育とはどのようなものなのでしょう。

今回は、公立の小学校で、ロボットを使ったプログラミングの授業を行っているLiveYourDreams株式会社代表取締役の河崎呈さんに、子供たちの創造性や芸術性を伸ばすプログラミング授業と、ロボットやAIと人間が共存する未来について語って頂きました。

Live Your Dreams代表取締役・河崎呈さん

子供たちの可能性を最大化する官民一体プロジェクト

-始めにLiveYourDreamsの取り組みについて教えてください。

LiveYourDreamsは、すべての人がポテンシャルを最大化できる社会の実現を目指して、2019年に設立されました。現在、映像事業、開発事業(タスク管理サービス「マトメンジャー」)、教育事業を展開しており、教育事業では、ヒューマノイドロボットNAOを使ったプログラミング授業の開発を行っています。これまでに、秋田県大館市や神奈川県ロボット産業区の協力の下、小学校の課外授業でプログラミング教育を行ってきました。

ヒューマノイド型ロボットNAO とは?

‐ヒューマノイド型ロボットNAOについて教えていただけますか?

NAOは、フランスのAldebaran社により開発された自立型ヒューマノイド型ロボットで、プログラミングの経験が無くても、直感的に開発を行うことができます。また、C++や、Pythonなどのプログラミング言語を用いる事で、より高度な制御することもできます。

NAOは、すでにヨーロッパでは様々な形での社会実装が進んでいて、小児科外来で子供が注射を受ける時に子供をあやしたり、発達障害の子供がコミュニケーションを練習するのに使われたりしています。

NAOの授業は、子供たちが取り合いになる程盛り上がる!?

「Go SOZO Tokyo 2019」 にて

‐小学校では、具体的にどのような授業をおこなっているのでしょうか?

私たちの授業では、エンジニアリングを通じてロボットと人間が共生する未来を創るという事と、人の役に立つ事で対価をもらう事を楽しく学んでもらうよう心がけています。

そのため、最初に子供たちにNAOと一緒に遊んでもらった後に、ロボットのいる日常を想定して、NAOを使った劇の台本を書き、プログラミングをして、NAOと一緒に演じてもらうという形式で授業を行っています。

例えば、先日、「Go SOZO Tokyo 2019」 で行われた授業では、 「困っている人をロボットと一緒に助けよう」 という課題を解決をする演劇を作ってもらいました。

そこでは、「119」で救急車を呼ぼうとしたNAOが、間違えて「110」の警察にかけてしまうというアクシデントの起こるユニークなプロットの劇も生まれ、ロボットと共存するという事は、ロボットに頼るだけでなく、互いに助け合う事なのだと子供たちから改めて学びました。

まずは、台本をみんなで作り、配役を決め、グループシートに書き込んでいきます。

次に、設定した課題を解決するために、カードを使い命令系統をプログラミングしていきます。

このようにして、日常で生じる何かしらの課題を、ロボットをプログラミングする事で解決するというプロセスを学んでもらいます。

‐生徒の反応はどうでしたか?

想定していた以上に、めちゃめちゃ盛り上がります。みんな目をキラキラさせながら取り組んでくれ、我先にプログラミングをしようと飛びつきます。時には、役の取り合いになるほどでした。授業をおこなった3クラス21班すべての班が劇をやり遂げる事が出来ました。

「Go SOZO Tokyo 2019」 にて

また、 学校で授業をおこなう際には、単にプログラミングを教えても意味がありません。子どもの創造した事をカタチにする事の楽しさ、そして、プログラミングが社会で誰かの役に立つという体験をさせてあげる事も重要だと考えています。

今後AIの進化に伴い、全く新しい職業が生まれてくると考えられています。そのため、子供たちには、これからの時代に、ロボットやAIの進化によって生まれてくるであろう職業を一緒に考えて体験してもらう事にも意識しています。

そのため、演劇を通じて、子供たちに実際にロボットと共存する世界をリアルに想像してもらい、自分は将来どのような仕事を通じて人々に価値を提供するのかという事を考えてもらうのです。このようにして将来AIやロボティクス分野で活躍できる人材を育てていこうという考えです。

【これから生まれる職業】

・ロボットアドバイザー
ロボットのメンテナンス、修理などを行う技術者


・輸送アナリスト
物流の事業に自動運転の技術が導入を管理ルートの分析や事業をどのように運営するかなどを考える。

・家庭用ロボット開発デザイナー
インターネットにつながれた新しい家電・ロボットを開発するデザイナー、修理できる修理工。これによって高齢者の見守りや防犯など、新たなサービスを生み出す。

・リモートドクター
AIを使って医療行為を行う技術者・医療従事者


・人間と機械のチーム構築マネージャー
機械と人間それぞれの強みを組み合わせて、最高の生産性を誇るチームを作る責任を持つ。


・ロボット性格デザインプログラマー
ロボットの性格をデザインするプログラマー


・ロボットコンシェルジュ
一人一人の生活に、ロボティクスとAIをどう活かすかをコーディネートする

10年以内に、様々なAIやロボットが日常の中で活躍する日が来ます。それに伴って、ロボットと人間が上手く共生していくために、AIやロボットと人間の関わり方を調整するような仕事が新たに生まれるのです。

とは言え、実際に、それを言葉で説明するのは難しいので、LiveYourDreamsでは「ロボチューバ―NAOとNANA」というYoutubeチャンネルを開設し、ロボットと人間が共存する未来の世界を表現しています。

ロボチューバ―NAOとNANAで未来を体験

‐ロボチューバ―NAOとNANAについて詳しく教えてください。

「ロボチューバーNAOとNANA」は、ロボットと人間が共存する近未来というコンセプトをもとに、多くの子どもに対して、社会へ出るきっかけを作る教育系YouTubeチャンネルです。

子どもたちが未来を想像し、たくさんの可能性を広げるキッカケになれるよう、「もしもロボットが転校生だったら」、「ロボットと一緒に料理をしてみよう」といった切り口で、ロボットと生活する日常を描いています。子供の頃からロボットとの関わり方を臨場感をもって考えてもらう事が狙いです。

このような未来においては、ドラえもんのようにコミュニケーションをとるロボットが普及して、一緒に笑ったり、一緒に泣いたりする事で、人間の感情や創造性を広げてくれる可能性があります。そして、そのような未来は10年とたたない内に実現すると言われています。

将来、ロボットが仕事を奪う!?

(©Softbank Robotics)

「2011年に小学生になった子供の65%は将来、今は存在していない仕事に就く。」

キャシー・デビットソン

‐ロボットやAIが人間の仕事を奪うのではないか?と不安に思っている人も多いですが、河崎さんのお考えをお聞かせください。

多くの人が漠然と不安に思っているだけで、実際は、ロボットに仕事を奪われるという考えは間違っています。むしろ、私たちは、人間はあらゆる単純作業から解放される事で、本来の持っている創造性を最大限に発揮できる時代が来ると考えています。

AIやロボットの進化により、先ほど紹介したような、全く新しい職業が生まれてくるだけでなく、人々が、梱包や書類のチェックなどのあらゆる単純作業から解放される事で、ユーザーを楽しませたり、サービスの品質をあげる事にもっと労力をさけるようになり、お客さんとのコミュニケーションの時間をより多くとる事も出来るようになります。

また、ロボットやAIの進化によって、日々とタスクに追われてストレスで消耗する日々から解放され、心に余裕が出来れば、人間が本来持っていた感性や創造性を大切にできる時代が来ると思っています。

空の青さを感じたり、道端の花の成長を楽しんんだり、家族や友人とのコミュニケーションの時間も増えたりと、ロボットは人間の仕事を奪うのではなく、むしろ、人間と共存していく事で人間の心も生活も豊かになっていくのです。

何事もよく分からないものには、漠然とした不安を感じるものです。その意味でも、Robotuberを通じて、子供の頃からAIと共存する未来を身近に感じてもらいたいと考えています。

全国の公立学校に広がるLiveYourDreamsのビジョン

‐民間企業が営利目的として公立の学校とプロジェクトを進める事は難しいのでしょうか?

私たちはボランティアではなく、会社としてプログラミング授業を提供しており、報酬をもらっています。教育現場でもお金をかけて外部から民間企業や専門家を呼ぶという文化は定着してきており、学校の先生方も、しっかりと予算を用意してくれます。

これまで秋田県大館市の主催する「巧プロジェクト」 や、神奈川県ロボット産業区など、官民共同でプログラミング教育を開催してきましたが、気づけば、行政の方々や先生方に協力してくださっているといった感じでした(笑)。

‐今後、どのように展開していくのでしょうか?

私たちは、これまで、課外授業としてプログラミング教育を行ってきましたが、来年からは、実際に、秋田県大館市の複数の小学校で単位として認定される授業を行います。

私たちは、小学校3年生から高校3年生までの学校向けプログラミング教育のカリキュラムを開発しており、実際に、出向して授業も行うため、各学校ですぐに導入して利用していただけます。これまでの課外授業で培ったノウハウを社会共通の財産として、全国の学校にも展開していく予定です。

学校の先生たちは、日々の激務ですごく大変な思いをされています。授業の後には部活動の顧問もあり、親御さんの対応もしないといけないですし、年間の指導案も考えないといけません。日々のタスクに追われて、子供たちと向き合う時間を取りたくても時間がとれず、つらい思いをしている先生たちも沢山いらっしゃると思います。

それに加えて、来年からプログラミング教育が始まるわけですから、学校の先生たちの負担はより大きなものとなります。LiveYourDreamsのカリキュラムとノウハウを使って頂く事で、少しでも先生たちの負担を減らす事が出来ればと考えています。

また、現在、LiveYourDreamsでは、ロボットを使ったプログラミングの授業をやってくれるファシリテーターも募集しています。子供の教育に関心のある方や、結婚などで教職を離れたけど、非常勤で働きたいという先生から、多くの募集を頂いています。

(©Softbank Robotics)

将来、AIやロボティクスで活躍できる人材教育を

秋田県大館市「巧プロジェクト」より

‐最後に読者にメッセージを一言お願いします。

AIやロボットが普及する事で、日々の単調作業から解放されて、ストレスが減り、心に余裕が出来れば、家族や友人と向き合う時間も増えますし、人間が創造性や芸術性を発揮できるようになります。今後もプログラミング教育を通じて、創造をしたモノがカタチになっていくという事の楽しさを伝える場を沢山作っていきます。

LiveYourDreams株式会社(リブ ユア ドリームス) / LiveYourDreams Inc, (LYD)

■設立年月日 2019年5月14日
■代表取締役社長兼CEO  河崎 呈
■所在地  <秋田本社>〒017-0044 秋田県大館市御成町1丁目12-27

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Seemy編集部
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