ヘルスケア

あやゆる疲れは脳から始まる!?脳の疲れをリセットする最高の習慣「マインドフルネス」

しっかりと睡眠時間を取っているはずなのに、何となく「体が重い」、「体にだるさが残っている」、それでも健康診断に行っても特に異常は見つからない。こんな経験をした事はありませんか?


もしかしたら、あなたのその疲れは、脳の疲れから来ているものかも知れません。

今回の記事で紹介するのは、脳科学的なアプローチを元に瞑想を行う事で、脳とカラダのコンディションを整える「マインドフルネス」です。最近何かとメディアに登場する事が増えたので、言葉だけは聞いた事があるという人も多いのではないでしょうか。

とは言え、マインドとか瞑想と聞くと「何となく胡散臭い」と感じる人も多く、誤解を招きやすい概念でもあります。しかし、近年、医学的エビデンスを元にマインドフルネスをビジネスシーンや、日々の生活に導入しようという試みが活発になっており、GoogleやFacebookのような企業でもマインドフルネスの研修が行われるなど注目を集めているのです。

そもそもマインドフルネスとは?

マインドフルネスとは、仏教用語で「常に落ち着いた心の状態」を表す「サティ」の英語訳です。一般的にマインドフルネスは、その状態に至るための手段としての「瞑想」もセットで語られる事が多い概念です。様々な表現がされる事が多い複雑な概念ですが、全米心理学協会(APA)は、以下のように定義しています。

「その瞬間に起こっている体験に対して、判断を下さずに意識を向けている状態の事。瞑想によりその状態に近づける事が出来得る。」

(出典:positivepsychology.com)

欧米でも昔から瞑想は知られていましたが、ヒッピー文化や、代替医療のシーンで話題になる程度で、あくまで東洋の文化のひとつといった程度のものでした。

しかし、近年の脳科学の進歩により、デフォルトモードネットワーク(DMN)という脳の領域が安静時にエネルギーを無駄使いしている事が明らかになり、それを防ぐ手段として、マインドフルネスが脚光を浴びるようになったのです。

脳の疲労の元凶・DMNとは

それではエネルギーを無駄使いしているDMMとはどういったものなのでしょうか。デフォルトモードネットワーク(DMN)は、内側前頭前野(MPFC) 、前部帯状皮質(ACC) , 後部帯状皮質・楔前部 (PCC/Precuneus),下頭頂葉(IPL) の領域に及ぶネットワークであり、安静時に活発化する事からこの名前がつけられました。いわばアイドリングモードでぼーっとしている状態で働く脳領域です

従来、脳が思考をしたり活動をしていない時は、ほとんどエネルギーが消費されないと考えられてきたのですが、2010年に発表された論文(*1)によると、DMNは脳全体エネルギー消費の60%ー80%に及ぶエネルギ―を消費している可能性があると報告されました。

(*1:Raichle, Marcus E. “The brain's dark energy.”Scientific American 302.3 (2010): 44-49.)

脳は休んでいる時も、実は大量のエネルギーを消費している事が分かったのです。以降、DMNを制御して、意識的に活動していない時に脳を休める事の重要性が認識され、その方法が模索されるようになりました。つまり、何となく体がだるいといった症状の裏には、脳がエネルギーの無駄使いをしている事が原因のひとつとして挙げられるのです。

そうして、DMNを抑制して脳の疲れを取るための様々なアプローチや研究が行われるようになったわけですが、2011年、当時イエール大学の精神科医だったジャドソン・ブリューアー氏は 「DMNの主要部位の活動は、瞑想によって抑制できる」 と自身の論文(*2)で報告しました。同氏が、 10年以上の瞑想経験がある人を対象に、脳の活動レベルを測定したとろころ、マインドフルネスを習慣にしている人の脳では、そうでない人に比べて、DMN領域である内側前頭前野と後帯状皮質の活動レベルが有意に低下していたのです。

(*2: Brewer, Judson A., et al. "Meditation experience is associated with differences in default mode network activity and connectivity." Proceedings of the National Academy of Sciences 108.50 (2011): 20254-20259.

ブリューアー氏のこの論文は、話題を呼び、脳の疲れを取り、仕事や日常生活でのパフォーマンスを 上げるソリューションとして、マインドフルネスが注目を集めるようになったのです。

マインドフルネス瞑想をやってみよう

さて、それではマインドフルネスを実践して、脳をリフレッシュする具体的な方法について紹介していきます。マインドフルネスは、出典元により若干の違いはあるものの原則は以下の4つのステップから構成されます。今回は、ハーバードビジネスレビューの「マインドフルネス」を参考に解説してこうと思います。

STEP1:椅子に座り、姿勢を正しゆっくりと深呼吸をする。深呼吸は早すぎず、遅すぎず、最も自然なスピードで行う。

STEP2:自分が呼吸をしている事に意識を向け、雑念を消す。

STEP3:しばらくすると集中力が切れて、呼吸以外の物事に意識が移る。「こんな事やって本当に意味があるのか?」、「今日の晩御飯は何を食べようか?」といったように意識が呼吸から逸れたら「今、意識が移った」、「雑念が沸いた!」と認識する。それ自体を良い事とも悪い事とも評価や判断をせず、また呼吸に意識を戻す。

STEP4:1~3を5分から10分繰り返す。

このように、マインドフルネス瞑想は、誰でも、どこでも簡単に始める事が出来るのです。ポイントとしては、今ここに存在している自分とその状態を客観的にいる事です。雑念が生まれたり、注意が逸れたとしてもそれを悪い事と思ってはいけないですし、長時間集中できたからといって喜んでもいけません。

あくまで自分を客観的に観察して、ありのままを受け入れる姿勢が重要なのです。そして、出来るだけ毎日続けるようにしましょう。

「思考を止めたり感情を消したりと、制御することが瞑想だと思っている人が沢山いますが、そうではありません。瞑想とは、批判したり裁いたりすることなく、リラックスしながらも集中した心で、自分の思考が生まれては消えてゆくのをありありと見つめることなのです。」

                                        アンディ・プディコム

マインドフルネスには様々なメリットが

マインドフルネスは、脳のエネルギーの無駄遣いを防ぐ以外にも、ストレス軽減を始めとした様々なメリットがある事が知られています。

マインドフルネスを利用したストレス低減法は( Mindfulness-based stress reduction :MBSR)と呼ばれており、盛んに研究が行われている分野でもあります。少し古いですが、TIME誌によると、2014年の時点でマインドフルネスに関する論文のうち約半数が、ストレス軽減効果についての研究でした。

ハーバード大学やケンブリッジ大学の研究者が中心となって行ったシステマティックレビュー(*3)によると、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)は、身体症状および精神症状を軽減する効果があり、循環器系疾患、慢性疼痛、うつ病、不安神経症などを予防する効果も期待されると結論付けています。

(*3:Standardised mindfulness-based interventions in healthcare: an overview of systematic reviews and meta-analyses of RCTs.)

マインドフルネスと瞑想についてもっと知りたい方へ

いかがでしたか?何となく体がダルい、疲れが取れないといった方は、マインドフルネスに解決のカギが隠されているかも知れません。

因みに筆者は、マインドフルネス瞑想法を一年ほど続けていますが、心なしか思考がシャープになり、体が軽くなったように思います。あくまで体感ですが(笑)。効果が実感できるようになるまでの期間は人にもよりますが、毎日10分間続けると1、2週間で、多くの人が効果が実感できると言われています。皆さんも、マインドフルネスを試してみてはいかがでしょうか。最後に、マインドフルネスをもっと知りたいという方に向けて、マインドフルネスの著名人二人のTED動画を紹介します。

【 ジャドソン・ブリューアー 「悪い習慣を断ち切るシンプルな方法」】

マインドフルネスのブームの火付け役となったブリュアー博士のスピーチです。マインドフルネスを利用して依存症をコントロールする方法や、認知の制御に関しても解説しています。

ジャドソン・ブリューアー 「悪い習慣を断ち切るシンプルな習慣」

【 アンディ・プディコム「瞑想は、1日10分だけでいい」】

ビル・ゲイツの2018年度おすすめ本ベスト5にランク入りした、『The Headspace Guide to Meditation and Mindfulness』の著者のアンディ・プディコム氏のスピーチです。

アンディ・プディコム「瞑想は、1日10分だけでいい」

(参考文献:Japanese Journal of Physiological Psychology and Psychophysiology (Advance Publication by J-STAGE Date: 2013/11/25)

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