ヘルスケア

実はこんなにあった!?知らないでは済まされない危険な薬の組み合わせ

皆さんは、普段、何種類の薬を使用しているでしょうか?薬は当然、健康のために服用するものですが、薬の組み合わせによっては、相互作用を起こし、場合によっては効果が相殺されたり、人体に悪影響を及ぼす事があります。

その薬にどのような効果があるのかを知っていないと、知らず知らずのうちに危険な飲み合わせをしてしまう可能性があります。元気になりたくて薬を使用しているのに、逆に健康被害が起きてしまったら元も子もありません。今回は薬と薬の危ない組み合わせを紹介していきたいと思います。

薬の相互作用

なぜ体に危険なのか(似た成分で副作用、分解を妨げる薬の飲み合わせ、効き目が弱まり、治療の妨げになる)複数の薬を飲んだ時にどうして体に悪影響を及ぼすのか、それには以下のような理由があります。

化学的に似た成分が入っている

ドラッグストアなどで売られている薬は、普通1種類の成分だけではなく、色んな成分が入っていますね。薬の種類が違っても成分がかぶっているということは意外とよくあることなのです。似た成分、もしくは全く同じ成分があると、薬が効きすぎてしまいそれだけ副作用が出やすくなります。

分解を妨げる組み合わせ

薬の効果というのは、体の中の薬の量で決まってきます。

体の中の薬の量は、もちろん摂取した量にも関係しますが、薬が体内からなくなっていくスピードも関係してくるのです。

多くの薬は酵素によって別の物質へと代謝されて体から排泄されていきますが、酵素にはさまざまな種類があります。

同じ酵素によって代謝される薬物が同時に体の中にあると、薬の代謝が遅れてしまいます。それによって薬の効果が出すぎてしまい、副作用につながるわけです。

分解を促進してしまう組み合わせ

先ほどの酵素の話なのですが、薬というのは奥が深く、酵素による代謝を遅らせてしまう薬もあれば、逆にその酵素を誘導して他の薬の代謝を早めてしまうものもあるのです。

そうなると、もともとの薬の効果が十分に得られず、治したいものが治らないことになります。

他にも体に吸収されるスピードだったり色々影響を与え合いますが、薬の組み合わせによる被害は紹介した3点が原因であることが多いです。

最悪の場合死に至る(ソリブジンの話)

薬の組み合わせによって起こるさまざまな作用を相互作用というのですが、この相互作用は最悪の場合、死に至ることもあるのです。有名なソリブジンの話をご紹介したいと思います。

1993年に起きた悲劇的な事件は、ソリブジンという抗ウイルス薬と、フルオロウラシル系抗がん剤の併用で、死者が15名も出たというものです。

ソリブジンは帯状疱疹というヘルペスウイルスによって起こる皮膚に発疹や痛みが出る病気を治す抗ウイルス薬です。

フルオロウラシル系抗がん剤は、そのままがんの治療に用いられる薬です。

ソリブジンというのは体の中で5-ブロモビニルウラシルに変換されますが、それがフルオロウラシルと似た構造をしています。

その5-ブロモビニルウラシルがフルオロウラシルを代謝する酵素(ジヒドロピミジンデヒドロゲナーゼ)を使えなくしてしまうため、フルオロウラシルの体内の量が増え、副作用である骨髄機能抑制が起こってしまいます。

骨髄というのは血液を作る器官のため、その機能が抑制されることで血液障害が起き、死に至ってしまったのです。

この事件をきっかけに薬物の相互作用の重要性があらためて認識されるようになりました。

ウイルスの薬と抗がん剤という関係なさそうな組み合わせでも、相互作用はあるものなのです。

参考(医薬品情報・評価学 改訂第3版 河島進、政田幹夫、松山賢治、内田亭弘)

注意した方がいい薬の組み合わせ

危ない薬の組み合わせについて、病院で出される薬は医者や薬剤師が事前にチェックしています。

ですが、病院でもらった処方薬とドラッグストアなどで売られている一般用医薬品でも同じように相互作用による危険はあるため、私たちの身近にある薬で注意した方がいいものとは何なのか、ご紹介していきたいと思います。

風邪薬と飲むと危険な薬の組み合わせ

消炎鎮痛剤

腰痛やひざの痛みなどで処方される消炎鎮痛薬と、風邪の時に使用する解熱鎮痛薬は同じような成分が入っていることがあります。鎮痛薬は痛みのもととなるプロスタグランジンという物質の生成を抑えますが、胃の粘液の分泌も抑制するため、成分がかぶっていると副作用として胃痛が表れやすくなります。

高血圧の薬

風邪薬の中に「甘草(カンゾウ)」と呼ばれる漢方薬の成分が入っているものは避けた方がいいでしょう。甘草はカリウムなどを排出する作用があり、高血圧の薬と同時に使うとその作用が強くなります。その結果血圧が上がりやすくなってしまいます(この症状を偽アルドステロン症といいます)。

 また、イブプロフェンなどのNSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれる解熱鎮痛薬と同時に使っても、効き目が下がり血圧が下がりにくくなります。NSAIDはプロスタグランジンの生成を抑えますが、プロスタグランジンには血管を広げて血圧を下げてくれる作用があるため、作られなくなることで血圧が上がってしまうことがあります。

→38℃以下なら解熱鎮痛薬は使わず安静にしておくのがいいでしょう。

糖尿病の薬

 解熱鎮痛剤のアスピリンは膵臓に作用して血糖値を下げるインスリンを出したり、糖尿病の薬の成分の吸収を高めたりすることで、血糖値が下がりすぎてしまいます。低血糖状態になるとめまいがしたり、吐き気が起きたり、気を失ってしまうこともあり危険です。

ですが、治療効果を高めるためにあえて糖尿病の薬とアスピリンを併用して処方する医者もいます。専門家による適切な使用であれば、効果的な組み合わせとも言えます。

「自己判断は危険なので、くれぐれも注意して下さい。」

咳止め薬・酔い止め薬と飲むと危険な薬の組み合わせ

総合風邪薬

いわゆる総合感冒薬と呼ばれ、様々な成分が入った風邪薬です。その中に咳や痰に効くコデインリン酸塩という成分があります。これが多くなると副作用の便秘が起こりやすくなります。

痛風・高尿酸血症の薬

痛風の薬であるアロプリノールはキサンチンオキシダーゼという酵素を減らし、尿酸のもとであるキサンチンを減らします。キサンチンオキシダーゼとは咳止め薬の成分であるテオフィリンを代謝する酵素でもあるので、併用するとテオフィリンの量が増え、頭痛や興奮などの副作用(テオフィリン中毒)が起こります

また、咳止めの成分であるテオフィリンは風邪薬などにも含まれているため注意が必要です。

喘息・COPDの薬

喘息や喫煙によるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療薬は気管支拡張薬やテオフィリンが用いられることが多く、併用でテオフィリン中毒になる危険性があります。けいれんが起きたり、意識を失うことも起こりうるため注意してください。

鼻炎薬と飲むと危険な組み合わせ

胃潰瘍の薬

胃潰瘍の薬にはブチルスコポラミン臭化物など抗コリン薬と呼ばれるものがあり、胃酸分泌を抑制する効果などがあります。抗コリン薬の副作用は、口が乾く、残尿感があるなどで、鼻炎薬に使われる抗ヒスタミン薬にも抗コリン薬と同じ作用があるため、副作用が出やすくなります。

副作用の口が乾いたり、尿がすっきり出なかったりすることは意外と不快でQOLの低下につながります。

→胃腸薬はH2ブロッカーと呼ばれるものなど他の種類を選ぶよう薬剤師や登録販売師に相談しましょう

抗不安薬・睡眠薬

鼻炎薬の抗ヒスタミン薬は第一世代第二世代があり、第一世代は眠くなりやすいという特徴があります。

第一世代のヒスタミン薬「クロルフェニラミンマレイン酸塩、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩など」

抗不安薬や睡眠薬ではベンゾジアゼピン系薬というものが使われ、これらと鼻炎薬を併用すると眠気が出やすく、意識がもうろうとしたり、ふらついたりします。

→睡眠薬は急にやめると離脱症状といってけいれんや不眠・不安という症状が出ることがあるので自己判断で急にやめるのはやめましょう。

などなど、他にもさまざまな相互作用は報告されており、ここで全てを語るのは正直不可能に近いです。

そのくらい体の中は複雑なんですね。

薬の飲み合わせ予防するには

使っている薬を把握する

まずは、普段使用している薬、家に置いてある薬を把握しましょう。

1か所にまとめるなりして、薬を知ることから始めてみましょう。

薬について知っておく、

何を改善したくて使用した薬なのか。細かい成分やメカニズムは把握しなくても知っておくのは大切なことです。特に一般用の医薬品には複数の成分が組み合わさって複数の効果を狙っているものがほとんどなのですから。

薬を知るということは薬を正しく使う第1歩ですね!

お薬手帳を活用する

お薬手帳はお持ちですか?薬局に行くと聞かれますね。ついつい面倒になってしまうお薬手帳ですが、最近はシールで渡してくれてお薬手帳に貼るだけと、まとめやすい仕様になってきています。

薬を置いておく場所に一緒に置いておくなりして、持っておきましょう!

お薬手帳は薬剤師が相互作用に気づける有能な情報源です。シールをペタッと貼るだけで完成できちゃうわけですから、自分の健康のためにも是非活用しましょう!

医者や薬剤師に正確に伝える

病院や薬局の問診票で普段飲んでいる薬はありますか?と答える欄があったりしますね。薬というのは専門家がついているくらい奥が深いものなので、専門家の意見をしっかりと聞くためにも伝える準備をしておきましょう!

まとめ

薬と薬の相互作用は意外なところで起きていたりします。共通して言えることは自己判断は危険だということです。

これらの記事を読んで知識をつけてもらうことで、「あれ?大丈夫かな?」と思って、自身の薬を見直してみる、専門家に質問してもらうきっかけとなれば幸いです。

【参考文献】

・警告!まさかの事態になる前に 身近な薬の副作用 監修:武政文彦、望月眞弓)

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レナ
レナ
seemyライターのレナです。都内の薬学部に通う傍ら、健康系のコンテンツを正しく、分かりやすく伝えるため、執筆活動に励んでいます。