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もはや不可抗力!?他人の本性をいとも簡単に暴き出す社会心理実験・独裁者ゲーム

皆さん、こんにちは。皆さんは、はじめは良い人だと思っていた人が、後で手のひらを返してきたり、逆に、あまり良い印象を持っていなかった人が、困った時に助けてくれたりといった経験をした事はありませんか?

「出会った人がどういう人なのか」「その人はどんな人間性を持っているのか」といった事を正確に把握する事はとても難しいですよね。社会の中で暮らす以上、人は誰しも建前を取り繕う必要があるため、なかなか本心をさらけ出す事はありません。

しかし、その人の人間性を正確に知る事が出来れば、人間関係を円滑にまわす手助けになりますし、詐欺師などを上手にかわす事も出来ます。

実は、数々の社会心理学の実験から、その人の人間性を、簡単に見抜く方法が明らかになっているのです。今回は、心理学を用いて、その人の人間性を一発で浮き彫りにする方法とそれにまつわる独裁者ゲームという社会実験を紹介したいと思います。

その人の社会性が明らかになる最後通牒ゲーム

まずはじめに、最後通牒ゲームという社会心理学の実験について紹介したいと思います。最後通牒ゲームは、1982年に、シュミットベルガーとシュワルツという二人の心理学者により行われた社会実験で、交渉時において、不公平に対する嫌悪感が、合理的な意思決定にどの程度影響を及ぼすのかを調べた実験です。簡単に実験の手法を紹介しましょう。

【最後通牒ゲーム】

最後通牒ゲームは、被験者を”提案者””受け手”に分け、両者の間で金銭の分配を行うゲームです。

まず提案者は、実験の主催者から金銭を与えられ、それを受け手と自分の間ででのように分配するかを決定し、受け手に提案します。

受け手が提案者の分配案を受け入れた場合は、提案通りに報酬が分配されます。一方で、受け手が提案を拒絶した場合、提案者、受け手の両者の獲得金額はゼロとなります。

経済的合理性に従えば、受け手は分配額がゼロでない限り、提案者の提案を受け入れ、提案者は受け手に対して最低限の金額しか与えないと予想されます。

しかし、実験の結果、受け手は、不公平な分配(提案者9割、受け手1割など)の提案は高い確率で拒絶し、また、提案者公正に近い分配を行う傾向があるという結果になったのです。

この実験結果は、他人の利己的な振る舞いや不公平に対する嫌悪感が経済的合理性と拮抗して、意思決定に影響を及ぼすという事を示しています。

これは、集団生活の中で生存競争を勝ち残った人間にとって、社会性が生存戦略上、重要な役割を果たしているためだと考えられています。その後、最後通牒ゲームに関する数々の追加実験が行われる事となります。

利己的な人と利他的な人が明らかになる独裁者ゲーム

最後通牒ゲームは、その後、様々な後続実験が行われましたが、そのひとつに独裁者ゲームというものがあります。独裁者ゲームは、分配者と受け手の2者間で金銭の分配者が行われるという点で、最後通牒ゲームと同じなのですが、受け手は、分配者の提案を拒否する事ができません。

合理的に考えると、独裁者となった被験者は、受け手に報酬を分配する必要はないのですが、数々の実験の結果、独裁者となった被検者は、13%から50%の報酬を受け手に渡したという結果になったのです。

独裁者ゲームは、その簡易さも相まって、被験者の利他性(社会性)と利己性(自己中心性)を測定する社会心理実験として広く知られるようになります。

その人の本心を、いとも簡単にあぶり出す方法

さて、ここからが本番です。その人の利他性(社会性)と利己性(自己中心性)を測る独裁者ゲームに関しても、数々の派生実験が行われてきたのですが、昨年、中国・浙江大学と米国・オハイオ州立大学にて、興味深い追加実験が行われています。

この実験では、まず、独裁者ゲームで被験者を利己的な人と、利他的な人とに分類した後に、時間制限を設けてもう一度、独裁者ゲームを行い、意思決定に及ぼす影響を測定するというものです。

2秒で報酬の分配の決断を迫った場合、10秒で報酬の分配の決断を迫った場合、そして、決断の時間制限を設けなかった場合に分けて実験をした結果、時間制限の下で決断を迫った場合、報酬を公平に分配した被験者(利他的な被験者)は、時間制限があるとより多くの報酬を分配し(より利他的な分配)、僅かな報酬しか分配なかった被験者(利己的な被験者)は、時間制限があると、より少ない報酬しか分配しなかったのです(より利己的な分配)。

時間制限が10秒の場合でも有意差が認められましたが、2秒の時の方が変化は大きかったのです。。つまり、意思決定の時間制限を設けた場合、その時間が短い程、利他的な人はより利他的になり、利己的な人はより利己的になったのです。

このことは、時間制限のプレッシャーの下において、素の自分や本来の性格が表出するという事を示唆しています。

また、ハーバード大学で行われた別の実験では、強烈な時間のプレッシャーがかかった時に、被験者の認知機能が低下する事が分かっています。認知機能を司る大脳皮質前頭前野は、情動や本能を抑制しているので、この部位の機能が低下すると、情動が表出し、感情的になります。つまり、その人の本来の人間性があらわになるのです。

思いもよらないアクシデントに見舞われた時や、焦っている時にその人の人間性がでるというのは経験的に心当たりがある人も多いかも知れません。

実際に、表情やしぐさは偽る事が容易であるのに対して、時間のプレッシャー制御する事が非常に難しいと言われています。

まとめ

今回は、その人を利他的か利己的か見抜き、ホンネ浮き彫りにする独裁者ゲームについて紹介しました。

これらの一連の社会実験は、日常生活でも応用できます。時間制限を設けて、相手を焦らせた状態で、何かの決断を迫るような質問をすると、面白いように、その人の人間性が浮き彫りになります。咄嗟のタイミングで、数秒以内で意思決定をさせ、その時の様子を観察するのです。

やり過ぎには注意が必要ですが、付き合うべき人とそうでない人を判断する際などに、上手に心理学を利用する事は非常に重要です。

大事な仕事をお願いしようか迷っている時、重要な秘密を打ち明けても良いのか悩んでいる時、あるいは、生涯のパートナーを選ぶ時などに、その人の人間性をこっそりあぶり出してみてはいかがでしょうか。人間関係で後悔しないためのカギが隠されているかもしれません。

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Seemy編集部
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